フジテレビ・土曜プレミアム
『 劇場版アニメーション 時をかける少女 』
2007/07/21 21:00〜23:10 感想です。
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◆声の出演:
紺野真琴(声・仲里依紗)
間宮千昭(声・石田卓也)
津田功介(声・板倉光隆)
芳山和子(声・原沙知絵)
藤谷果穂(声・谷村美月)
早川友梨(声・垣内彩未)
紺野美雪(声・関戸優希)
◆スタッフ:
製作会社:角川書店
制作会社:マッドハウス
監督:細田守
原作:筒井康隆(角川文庫刊)
脚本:奥寺佐渡子
キャラクターデザイン:貞本義行
美術監督:山本二三
音楽:吉田潔
配給:角川ヘラルド映画
(C)「時をかける少女」製作委員会2006
◆あらすじ:
高校2年生の紺野真琴は、
踏切事故をきっかけに、時間を跳躍する能力を得る。
叔母の芳山和子に相談すると、それは「タイムリープ」といい、
年頃の女の子にはよくあることだという。
過去に飛べる能力。世界は私のもの!
バラ色の日々と思われたが、クラスメートの男子生徒、
間宮千昭や津田功介との関係に変化が…。
千昭から思わぬ告白を受けた真琴は狼狽のあまり、
その告白をタイムリープで、強引になかったことにしてしまう。
3人の友達関係が続けばいいと考えていた真琴の望みは、厄介な状況に。
叔母の和子は「つきあっちゃえばいいのに」と、のんきなアドバイス。
真琴はタイムリープで東奔西走するのだが…
・・・というお話。
(2006年夏・劇場公開作品)
◆レビューな感想:
時をかける少女公式ページ
劇場版アニメーション「時をかける少女」を見ました。
この作品は、原作が描かれてから、これまでにも何度も、
映画化されたり、実写ドラマ化されたり、
私が知っている範囲では、コミック版も出ていたかと思います。
その筒井康隆氏原作の小説を現代版アニメ映画として
リメイクした作品が地上波で放送されました。
えっと、確かですね。
最初の映画版は実写で、1983年に公開された、
大林宣彦監督の『時をかける少女』であるらしいです。
そして、その頃は角川映画が全盛期だったらしいとか、
劇場は立ち見で大変混雑していたとかの話ですが、
リアルタイムで見ることが出来なかった私には
当時の盛況ぶりなんて分かりませんけどね。
ちなみに私は原作小説は1994年に再版したものを。
過去二回?にわたって制作された映画と実写ドラマは、
同じく、1994の内田有紀主演版のリメイク記念か、
何かの特集で再放送されたものを見ていました。
というわけで、これだけ長い間愛されている作品っていうことで、
見てみたいなとは思っていたのですけど、それは叶わず。
でも、今回、初めて地上波で放送されるってことなので、
けっこう楽しみにしていました。
作品全体の背景とか、人の動きとが細かくてとっても綺麗なんです。
キャラデザも、ごく最近のありふれた高校生に仕上がっています。
真琴さんの不運と自己紹介。
独り言のように自分のことを説明する演出が面白いですね。

主人公の紺野真琴17歳は、
高校2年生の明るく元気で活発な女の子。
将来を決めかねていたり、漠然と日々を過ごしていたものの、
真琴さんは、いつも男友達の津田功介と間宮千昭と一緒。
この三人で、楽しい学校生活を送っていた真琴さん。
それはずっと続くと思っていたありふれた日常。
そんなある日のこと。
もう朝から遅刻しそうな真琴さん。
というか、いつものことみたいですね。(笑)
なんとか遅刻を間逃れることができて、
「今日は、超ラッキーな1日♪」と、
思っていた真琴さんでしたが・・・。
小テストが突然行われて、結果は散々だったり、
でも、9点は・・・ちょっと・・・サボりすぎでは。
続いて家庭科の調理実習では、
テンプラ揚げに失敗し、ボヤ騒ぎを起こします。
それにしても、見事な転けっぷりだこと。
昼休み、ただ普通に校内を歩いてただけなのに、
男子生徒が飛んできて、衝突、下敷きに・・・。
なんというか・・・不運なことばかり起きます。
まあ、半分は身から出た錆なのですけど。(笑)
そんな不運に見舞われながらも無事に授業も終わり。
今日の真琴さんは日直なのか、日誌を置きに科学室へ。
すると隣の準備室から物音が聞こえるではありませんか。
そこは誰もいないハズ部屋・・・なのですが。
不審に思った真琴さんは、その部屋へ確かめに・・・。
しかしやっぱり誰もおらず、代わりに床に転げたビー玉?を発見。
そっちに気を取られた次の瞬間。人影が見えて・・・。
驚いて慌てた真琴さんは、またも転んでしまます。
転び方が悪い、もう少しで後頭部を床に打ち付ける勢いだ・・・。
そして、真琴さんは不思議な体験をすることに。

それにしても、何にも無いところで転ぶ真琴さん。(笑)
現代高校生だけでなく、最近のアニメ的要素である
典型的なドジッ娘要素も取り入れたのでしょうね。
あとは、要所に散りばめられたギャグ的な描写でしょうか。
こういう点では、アニメーション映画であったことが、
とっても利点になっているんじゃないかな。
これまで、何度か実写版として映像化されてますけど、
内容は細かく分析すると、
この作品は現実名バレしたSFファンタジー。
それはそれで楽しめるものでしたが、
描写や表現に限界があったかと思います。
外国のSF映画などは違和感ないので、
日本の映像技術に問題があるのかもしれませんけどね。
ともかく、今回はアニメにした事で、
現実的には絶対にあり得ないような描写をさり気なく、
上手に表現出来ていると思いました。
まあ、アニメーションの技術レベルが高いから、
なのかもしれないので、総合的には技術の問題、
かもしれませんけどね。

真琴さんの乗った自転車がをブレーキ故障で下り坂を暴走・・・。
遭遇した踏切事故をきっかけに、時間を跳躍する能力を得ました。
芳山和子「タイムリープって知ってる?」
不思議体験を話した真琴さんへ、叔母さんからのアドバイス。
てか、「若い頃にはよくあることよ。」ってそれは無いですから。

最初は半信半疑だったものの、本当に飛べるかどうか試してみるの。
部屋の窓から飛ぼうとして、妹に自殺と間違えられたときには、
ギャグなのか?と笑ってしまいましたけど、
後から考えると、もしも力が発動しなければ、
大変なことになっていましたから・・・。
後先をあまり深く考えない真琴さんは天然過ぎます。
ついにタイムリープの力に目覚めた真琴さん。
さっそく同じ日を繰り返したり、時間を行き来するようになります。
でも、真琴さんは、
自分にとって不利な出来事を無くす為だけに、
それを何度も利用し始めます。
利用できる物があったら、使ってみたくなる。
今時の高校生らしい発想なのがよく分かりますね。
真琴さんの暴走は止まりません。
自分にとって、不運なアクシデント続きだった日に戻り、
朝は時間に余裕を持って学校へ出掛け、
小テストでは、100点満点を取り、
家庭科の調理実習では、
天ぷら揚げを他の男子生徒に代わってもらい、
次々と、自分に降りかかってきた災難から、
逃れていきます。
もう有頂天です。
バラ色の人生が始まる物だと信じていました。
さりげなく叔母が警告してましたね。
そう。過去を変えると言うことは、
同時に誰かの運命を変えるということ。
時にそれは、人の生き死にさえ左右する。
でも、そんなことを理解するには、
今の真琴さんは幼すぎた。
自己中心的な真琴さん。
「自分さえ難を逃れれば、超ラッキー♪」
誰かを不幸にしていることに気づかない真琴さん。
なおも、事態が自分の思い通りに事が動かないと、
何度も、何度も、同じ時間を繰り返す真琴さん。
そして、ついに自分にとって、良かれと思ってやってきたこと。
そんな行動が切っ掛けとなり、思わぬ展開が待ち受けていました。
人の運命が変わり、とんでもない方向へと事態は動き始めます。
少しずつ壊れていく人間関係。
どうしても思い通りにならない現実。
そうやって、自分にとって都合のイイ事だけを考え、
時間を繰り返しているうちに、
ずっと続くと思っていた日常が崩れていく。
そして・・・・。
事態は、功介とその恋人の命を失わせる結果に、
しかし、それは起こらなかった、かに見えた。
目の前には、千昭の姿。彼は未来人であることを明かし、
タイムリープについて口にするのだった。
自分の為に、全てを犠牲にしてくれた人の事を知る真琴さん。
本当に大切だったモノが何だったのか、
真琴さんは思い知らされる事となります。
幼く、自己中心的な考え方だった真琴さんは、
何度も繰り返される時間によって、
確実に成長し、大人に近づいていきます。
最後、漠然として、将来を決めかねていた真琴さんは。
千昭との別れを通して、一つの目標が出来たようです。
恐らく、この作品は、真琴のさんのような、
自己中心的な考え方になってしまいがちな、
現代社会の高校生、さらには日本人全体対して、
伝えたいメッセージが込められていたのでしょう。
ただ、
タイムリープ可能回数の説明不足。
タイムマシンのチャージ原理説明無し。
実は未来人だった千昭は転校生。
千昭「気づいたら夏になっちまってた。」
三人は信頼を築くほどの関係を保っていたが、
あれはどう見ても短期間の関係には見えない。
留学するとして学校を去った以上、
関係者全員に記憶操作を施した可能性がある。
だとすれば、三人の関係は偽りか真か?
千昭「未来で待ってる。」
真琴「うん、直ぐ行く。走っていく。」
千昭と真琴の別れ際の言葉。
真琴に乙女心を奪った千昭の責任。
真琴は行くと
千昭のいる未来とはどの位先なんだ?
時間の流れは二人に無情な現実を・・・。
叔母と同じ人生を歩むつもりなのか?
それとも、本当に行くつもりなのか?

いずれ、未来へ帰らねばならない定めであった千昭。
それならば、どうして千昭は真琴に告白をしたのか。
真琴にふられたと思った彼は、どうして別の女性と付き合ったのか。
どれも、真琴のタイムリープを繰り返した結果の別の未来だが、
どちらにせよ、彼は女性と付き合う時間は無かったはずだ。
など、
少々消化不良な感じがするところも見受けられましたが、
現代の高校生でも、すんなり入っていけそうな世界観とキャラ設定、
ストーリーも難解なものではなく、先の展開を予測することが出来るシナリオ、
作品の世界観、演出、声優の演技、主題歌の全てが見事なまでに織り重なって、
ストーリーを華やかに際立てているからなんだと思います。
本作は、伝いたいメッセージがハッキリしていてグッと来る良作でした。
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おすすめリンク:
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